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私は設計をしています。「通い箱」といって工場から工場へと部品を輸送する箱の設計の担当です。お客様から製品を預かって「お客様の要望に従って製品保護を第一とし、その上でコストや作業性や生産性などのバランスをとること」を考えながら設計からサンプル作成まで一括で行います。
営業に同行して、お客様の要望を聞きに行くこともあります。ある程度のたたき台を持っていけばお客様の目の前でサンプルを作ることも可能なので、その場で作成し、イメージを沸きやすくします。また受注から納品までのスピードも重要ですから、サンプルをその場で作る事はその後の作業にも役立っています。

お客様にその場で視覚的に理解して頂くためにもサンプル作成は大切な仕事のひとつです。

この仕事は、複雑で高価なものを作るのは簡単ですが、できるだけ簡素化にして費用がかからないように考えます。
ある時、お客様に「製品を動かないように固定できるようにしてほしいが、入れるときはポンと放り投げても入る位のそういうゆるい形の箱がいい」といわれたことがありました。こうした一見矛盾するような要望をうかがいながら、お客様がどこを重要視しているか、設計上のバランスをとりながら作業していく事に一番気をつかいます。
また、梱包の段ボールは物流に大きく影響します。
コンテナ、パレット、箱それぞれに規格サイズがあるので、それらを関係なしにデザインすることはできません。よく、「あと10ミリ縮めてくれたらいいのに、それだけ縮められたらパレットに入るのに」と言われます。この場合、10個並んだら10センチはみ出たことになりますので、ダンボールの厚さを調節したりしますが、強度はあまり落とせません。まさにミリ単位の世界ですね。輸出用のコンテナは1列入るかどうかでコストがぜんぜん違ってくるので、ものすごいシビアになりますね。
仕事の手順として、まずはお客様の要望通りのものを作成し、その上でアイデアがあればこちらから提案するという流れを踏みます。以前、お客様から製品を1つでも多く入れたいという要望を受けて、生産上も作業上も複雑で現実味がないが、普通の方法よりも多く入るサンプルを作成したところ、「これを作ったやつは『変態』だな」と言われました(笑)。
まあ、それはお客様からの褒め言葉なんですが、それからずっと変態と呼ばれています。営業からお客様が喜んでいたと聞いても、(どうせまた変態と言われているのだな)と思って素直に喜べないときがあります(笑)。
当社の製品はコストだけでは勝負できない場合もあります。だから、他社では作れない、真似されないような製品を作り、たとえ高価であっても当社に注文がくるような努力をしています。当社の設計力でしか出来ないようなものを作るようにしています。
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